「フジサト君、君は今まで食べたパンの枚数を覚えているのかい?」

こんにちは。お金を貯めることが得意なフジサトです。

 

今日もお越しいただきありがとうございます。今回は、僕がサラリーマンだった頃の、仲のいい先輩とのエピソードです。とてもゲーム好きな人で、当時大ヒットしていたスマホゲームに夢中でした。

 

 

【都内某所:昼ごろ】

 

「面白いんですか?それ」

 

向い合って座っているにもかかわらず全くしゃべる気配を見せない先輩に、僕はしびれを切らして問いかけました。 

 

「うん?・・・うーん。そうだね・・面白いよ」

 

「・・・。やっぱり、課金とかしちゃうんですか?」

 

「・・・え?何?あ、あぁ課金ね」

 

先輩はようやく必死に動かしていた指を止め、スマホの画面から目を離してゲーム音痴の僕を諭すように語りだしました。

 

「そりゃあ課金アイテムを使わなくてもゲームはできるよ。でも、先に進むのがすごく大変なんだ。ところが、たかだか数百円払えばあっさりと先に進めるようになる。本来かかったはずのゲームに費やす時間を、大幅に短縮できるんだから決して無駄じゃないと思うよ」

 

 再びスマホ画面に向かい始めた先輩の顔は真剣そのもので、決して冗談を言っているようには見えません。

 

「・・じゃあ課金アイテム、買かったことあるんですね。ちなみに何回ぐらいですか?」

 

「え?何回?うーんそうだなぁ。フッ。フジサト君、君は今まで食べたパンの枚数を覚えているのかい?」

 

「・・ディオですか?・・かなりお金使ったんですね」

 

「おっ!フジサト君、ゲームはダメでも『ジョジョ』はいける口だね!」

 

昔、『ジョジョの奇妙な冒険』の単行本を数冊持っていたためたまたまディオ(主人公の仇敵)のセリフが分かったにすぎない僕を、すっかりディープなジョジョファンだと思い込んだ先輩は、急に上機嫌になって続けました。

 

「たしかに少し使いすぎているかもしれない。でも、ゲームの開発にはすごくお金がかかるんだ。僕みたいにたくさんお金を払うやつがいなかったら、ゲーム会社は困るし、それでいいゲームができなかったら僕も困る。僕にとっての課金システムはこの素晴らしいゲームを作ってくれたことに対するいわば『ありがとう課金』ってやつさ」

 

僕は、話し終わるやいなや再びゲームに没頭する先輩を見ながら、「そういえば僕にはこんなに夢中になれるものはあまりないな。本当に好きなことにお金を使うことは、お金を貯めることなんかよりもずっと大切なことなのかもしれない」などと考え、スマホゲームにのめり込む人に対する無理解を少し反省しました。本当は、二人でランチに来ている時ぐらいはゲームを止めてほしかったのですが・・。

 

・・・数週間後

 

「え?あーあれね。もうやめたよ。だってどんどん難しくなるんだ。たくさんアイテム買わなきゃいけないようにできているんだよ。まったくズルイ奴らだぜ。あっそうだフジサト君、今度一緒にモンハンやんない?一人じゃどうしても倒せないやつがいるんだ」